事業等のリスク

当有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

1.世界マクロ経済環境の変化によるリスク

当社グループは、国内及び海外における各種商品の売買を主要事業とし、これらの商品の製造・加工・販売、事業投資、サービスの提供等多岐にわたる事業を行っております。このため、日本及び関係諸国の政治経済状況の影響を受けております。これらの悪化・低迷が、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.特定の販売先への依存

当社グループは、当社及び連結子会社772社・持分法適用会社234社で構成され、国内及び海外における自動車関連商品、その他各種商品の販売を主要事業としております。当社グループの収益のうち、トヨタ自動車㈱グループへの収益が占める比率は12.3%であります。従いまして、トヨタ自動車㈱グループとの取引の動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

3.商品リスク

当社グループが取り扱う非鉄金属・石油製品・ゴム・食料・繊維等の相場商品には価格変動のリスクが存在します。そのため、商品ごとにポジション限度枠を設定し、限度枠遵守状況の定期的なモニタリングを行っております。こうした価格変動のリスクを低減する施策を講じておりますが、必ずしも価格変動リスクを完全に回避できるものではなく、商品市況や相場の動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

4.信用リスク

当社グループには、多様な営業活動により生じた国内外の取引先に対する金銭債権回収に関するリスクが存在します。こうした信用リスクに対応するため、当社グループでは取引先の財務内容を基にした当社独自基準の格付(8段階)を行い、売掛金・前渡金等の取引の種類ごとに限度枠を設定しています。なお、低格付の取引先に対しては、取引条件の見直し、債権保全、撤退等の取引方針を定め、個別に重点管理を行い、損失発生の防止に努めております。このように与信管理を行っておりますが、信用リスクを完全に回避できる保証はなく、取引先の財務内容が悪化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

5.事業投資リスク

当社グループは、既存提携関係の強化または新規提携を行うことにより、既存事業の拡大や機能強化または新規事業への参入を目指しております。このため、他社と提携して新会社を設立するまたは既存の企業へ投資する等の投資活動を行っており、更に今後も投資活動を行う可能性があります。新規投資については、戦略性や全社優先順位を議論し、担当営業部だけでなく、コーポレート部門担当者も検討に参画し、幅広い視点から投資リターン、各種リスク分析等の検討を行っています。また、投資実行後は計画通りの投資リターンを得て、リスク資産に見合った利益を確保しているか等のモニタリングを実施し、計画通りに進行していない案件に対する再建・撤退ルールを厳格に運用しております。しかしながら、投資先企業の価値または株式の市場価値が低迷した場合には、当社グループが投資金額の全部もしくは相当部分を失う、またはこれらの投資先企業に対する追加の資金提供を余儀なくされることがあります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

6.外国為替リスク

当社グループが行っている商品の販売及び投資活動等のうち、外国通貨建ての取引については、外国為替の変動による影響を受けることがあります。当社グループはこうした外国為替のリスクを一定程度まで低減するよう為替予約等によるヘッジ策を講じておりますが、必ずしも完全に回避できるものではありません。
また、当社は海外に多くのグループ会社が存在しており、各社の財務諸表を円貨に換算する際に、為替変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

7.金利変動リスク

当社グループは、営業債権等による信用供与・有価証券取得・固定資産取得等のために金融機関からの借入及びコマーシャル・ペーパー、社債の発行等により事業資金を手当てしており、一部が変動金利条件となっておりますが、その相当部分は、変動による影響を転嫁できる営業資産に見合っております。
また、当社グループでは、アセット・ライアビリティ・マネジメント(ALM)を通じて金利変動リスクをミニマイズすべく取り組んでおりますが、完全に金利変動リスクを回避できるものではなく、今後の金利動向によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

8.上場有価証券の価格変動リスク

当社グループは、取引先との関係維持・強化、事業収益拡大及び企業価値向上を目的に、活発な市場で取引されている有価証券を保有しております。活発な市場で取引されている有価証券は価格変動の影響を受けることがあり、価格下落の場合には当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

9.退職後給付に係るリスク

当社グループの年金資産には国内外の株式及び債券等が含まれるため、株式・債券市場の動向によっては資産価値が減少し退職後給付に係る費用が増加する可能性があります。その場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

10.資金調達に関するリスク

当社グループは、事業資金を国内外の金融機関からの借入及びコマーシャル・ペーパー、社債の発行等により調達しております。金融機関との良好な取引関係の維持及びアセット・ライアビリティ・マネジメント(ALM)に努め、資産の内容に応じた調達を実施することで流動性リスクの最小化を図っておりますが、金融市場の混乱や格付機関による当社信用格付けの大幅な引き下げ等の事態が生じた場合、当社グループの資金調達に制約が課される可能性や、調達コストが増加する可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

11.人事労務リスク

当社グループは、各国・各地域で事業を行うにあたり、ストライキなどより操業が停止・制限され、サプライチェーンに影響を及ぼすリスクがあります。結果として、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

12.人権リスク

当社グループは、各国・各地域で事業を行うにあたり、グループ会社への人権デューデリジェンスを通じた人権尊重に取り組んでいるほか、国連「世界人権宣言」を含む国際人権章典、「ビジネスと人権に関する指導原則」等の国際基準に則った「豊田通商グループ人権方針」を定め、サプライヤーを含むすべてのビジネスパートナーのみなさまに対し当該方針を遵守頂くことを働きかけていますが、不測の事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

13.情報セキュリティリスク

当社グループは、情報セキュリティに関するグループ標準の規程・ガイドラインを制定し対応状況の把握・改善を行うと共に、サイバー攻撃などに備えた体制の整備と教育・訓練、製品脆弱性情報やセキュリティ事故などの脅威情報に基づく迅速な対策を実施しております。また、ネットワークやメールセキュリティなどのITインフラ領域については、システム共通化によって、グループ全体で効率的に有効性を高める施策を実施しております。しかしながら、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウイルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、設備・通信障害等による情報システム停止等の可能性は排除できず、この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

14.コンプライアンスリスク

当社グループは、国内外において多岐にわたる事業を行っており、日本における会社法、税法、独占禁止法、金融商品取引法等の各種法令、また、事業活動を行う各国・地域の法令、規制といった様々な分野における広範な制約を受けております。当社ではコンプライアンス・危機管理部を設置し、グループ全体のコンプライアンス体制を強化することで、法令遵守の徹底等コンプライアンス意識の向上を図っておりますが、役職員が不正・不法行為を行った場合、社会的な信用を毀損する可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

15.安全関連リスク

従業員並びに委託者の労働災害により、当社グループの事業活動に支障が生じる可能性があります。災害未然防止に関する設備、作業標準の整備、教育、日常管理を行っておりますが、大規模な労働災害の発生等により追加の対策コストが必要となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

16.環境関連リスク

気候変動、水資源、森林の保護を含む環境関連のリスクは、当社グループ経営に与える影響は高いと判断しています。気候変動に係る事業機会とリスクは、安全・環境推進連絡会とサステナビリティ推進委員会で審議、取締役会へ適宜報告され、担当部門や構成メンバーを通じて事業戦略や活動に組み込まれています。当社及びグループ企業は環境マネジメントシステムに関する国際規格であるISO14001を取得しており、製造現場のある既存投資先を対象に、本社による環境内部監査を実施し、モニタリングしています。また、6つのマテリアリティを掲げ、ビジネスを通じて環境負荷低減を進めております。不測の事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

17.カントリーリスク

当社グループは、輸出入や海外の取引先に対する投資等、海外の取引先と多くの取引を行っており、事業活動を行う各国の政府による規制・政治的不安・資金移動の規制等による製品の製造・購買に伴うリスクに加え、投資の損失またはその他の資産が劣化するリスクが存在しております。当社グループは、カントリーリスクが高い国における案件については、貿易保険等によりリスクを低減することに努めております。また、最大想定損失額であるリスクアセットを国ごとに把握し、各国ごとに定めた上限値の範囲内に抑えることで、特定の地域または国に対する集中の是正に努めております。こうした管理やヘッジ策を講じておりますが、取引先所在国や当社グループが活動を行う国の事業環境の悪化によるリスクを完全に回避できるものではないため、そのような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、2022年2月以降のロシアのウクライナ侵攻による影響については、長期化する場合には当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

18.災害等による影響について

火災・地震・洪水等の災害により、当社グループの事業活動に支障が生じる可能性があります。事業継続計画(BCP)の策定及び維持改善活動の推進、設備等の耐震対策、社員安否確認システムの整備等を通じた対策を行っておりますが、大規模な災害の発生等により追加の対策コストが必要となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、未知のウイルス・細菌等の感染拡大により、従業員や取引先への感染、サプライチェーンへの影響、消費の低迷等により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、新型コロナウイルス感染症の社内外への感染拡大抑止と、グループ全社員の安全と健康の確保を最優先に対策を講じ、政府指導に基づいた対応を実施してまいります。