サプライチェーン

豊田通商グループサプライチェーン・サステナビリティ行動指針

豊田通商グループは、グローバルに多様なバリューチェーンを構築しており、それぞれの地域において、サプライチェーン全体がサステナブルであるために、人権、労働環境、自然環境に配慮したサステナビリティ・CSRを推進していくことが必要であると考えます。

2012年にはサステナビリティ・CSRについてサプライヤーと共通認識を持ち、取り組みにおいて協調し、互いの持続可能な成長を実現するために、「サプライチェーンCSR行動指針」を制定しました。さらに、近年の人権や環境への問題意識のさらなる高まりや当社グループにおけるマテリアリティの特定を受け、サプライヤーの皆さまとの共通認識をより明確にするため、2019年および2022年に同行動指針の改定を実施しました。

2022年の改定では主に人権や環境に関する当社の考え方をより明確にするとともに、名称を「サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」に改めました。その内容は取締役会にも報告しています。今後も外部環境の変化に応じて適宜アップデートしていきます。

2022年の改定に合わせ、あらためて仕入先さま約1,400社へ、当社の「サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」を共有し、その実践をお願いしました。また、今後本行動指針に基づきモニタリングを実施します。具体的には、リスク分析を行い、リスクが高いと判断された仕入先さまへは実施状況のアンケートおよび必要に応じて実地監査を行うなど遵守状況を確認していきます。

豊田通商グループサプライチェーン・サステナビリティ行動指針

I. サプライチェーン・サステナビリティ行動指針

  1. 1人権の尊重
    • 「豊田通商グループ 人権方針」を理解、支持し、実行に努める。
    • 従業員の人権を尊重し、虐待、体罰、ハラスメント等の非人道的な扱いを行わない。
  2. 2強制労働・児童労働・不当な低賃金労働の防止
    • いかなる形態の現代奴隷も認めず、強制的な労働を禁止し、すべての労働は自発的であり、従業員が自由に離職できる権利を保証する。
    • 子どもから教育機会を奪い、その発達を阻害するような早い年齢から仕事をさせる児童労働を認めない。
      就労可能年齢は、15歳、各国該当法令等による就労最低年齢または義務教育終了年齢いずれか最高のものとする。
    • 18歳未満の従業員を危険有害業務に使用しない。
    • 従業員の労働時間(超過勤務を含む)・休日・休暇を適切に管理し、過度な長時間勤務の削減に努める。また、不当な賃金減額を行わず、各国労働法令を遵守した最低賃金を上回る賃金の支払いを行う。
    • 職業訓練や見習については、各国該当法令等が認めている範囲のみで就労可能とする。
  3. 3差別の撤廃
    • あらゆる雇用の場面において、性別、年齢、国籍、人種、皮膚の色、民族、宗教、性的指向、障がい、政治的見解等を理由とした差別を行わない。
  4. 4結社の自由の尊重
    • 従業員が自由に結社する権利または結社しない権利を、事業活動を行う国の該当法令等に基づいて認める。
    • 従業員が経営層へ、報復、脅迫や嫌がらせをおそれずに、オープンで直接コミュニケーションできる権利を保証する。
  5. 5労働環境の整備
    • 従業員の安全と健康の確保を最優先とし、安全で衛生的かつ健康的な労働環境の提供に努める。
  6. 6公正な取引および腐敗防止の徹底
    • 関係法令および国際的なルールを遵守し、公正な取引および腐敗防止を徹底する。
  7. 7品質・安全性の確保
    • 商品やサービスの品質・安全性を確保する。
  8. 8地球環境への配慮
    • 「豊田通商グループ 環境方針」を理解、支持し、実行に努める。
    • 環境マネジメントシステムの構築により環境保全活動を実施し、見直し、創造性を発揮することにより継続的改善を目指す。
    • 温室効果ガスの排出量削減を推進し、カーボンニュートラルを実現することで、気候変動へ最大限配慮する。
      省資源、省エネルギーを行い、利用効率を高める。
    • 水の有効活用と水ストレス地域での水使用量を削減する。
    • 環境汚染の予防・軽減に取組む。
    • 各国・地域の法令を遵守し、廃棄物の適正処理、有効利用、資源保護を積極的に推進し、循環型経済社会の実現に寄与するとともに、廃棄物削減に取り組む。
    • 生物の多様性が企業活動の存続の前提であるとの認識に基づき、人と自然が共生する 持続可能な社会の実現に取り組む。
    • 森林保全に配慮し、森林資源の持続的可能な形での利用を目指す。
  9. 9地域コミュニティへの貢献
    • 地域社会の権利と生活を守るとともに、地域コミュニティの一員として地域に貢献する。
  10. 10情報開示
    • 上記に関する情報の適時・適切な開示を行う。

II. モニタリング

本指針の遵守状況を把握するため、サプライヤーとのコミュニケーションを深め、サプライヤーに対する定期的な調査を実施させて頂きます。また活動地域や事業内容から、必要と判断される場合には、サプライヤーを訪問し活動状況の確認を行わせて頂きます。

III. 遵守違反への対応

本指針に反する問題が発生した場合は、迅速にご報告いただくとともに、改善に取り組んで頂くようお願い致します。万一、適切な改善の取り組みがなされない場合には、取引見直しを検討させて頂きます。

サプライチェーン・サステナビリティ行動指針の周知及び意識啓発

当社では全社員が購買に携わる可能性があるため、全社員を対象にe-learningを実施しています。2019年はサプライチェーン全体での環境や人権への配慮についての社員の意識向上のため、サプライチェーンマネジメントに関するe-learningを全社員向けに実施し、単体社員3,000名以上が受講しました。2020年度は当社の人権方針及び人権尊重に関する内容も含めたサステナビリティ全体のe-learningを行い、単体社員3,100名以上が受講しました。2022年度は海外連結子会社のサステナビリティ担当者向けに、当社のサステナビリティ活動及びサプライチェーン管理について説明会を、一部の連結子会社にて人権に関する勉強会を開催しました。

購買に係わる社員がe-learningなどでサプライチェーン・マネジネントの重要性を学んだ上で、継続的な取引のある全世界のお取引先さまへ、営業担当者から当社の「サプライチェーンCSR行動指針」を送付もしくは直接ご訪問し、口頭説明の上、同方針への賛同を呼び掛け、ご理解とご協力を求めました。2022年には改定した「サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」を再度サプライヤーの皆様へ共有しました。契約書のひな型に当社のサプライチェーン・サステナビリティ行動指針の遵守についての項目を追加しました。

また、当社は2015年5月に環境への影響に配慮した持続可能なパーム油の調達を目的とするRSPO「持続可能なパーム油のための円卓会議」に加盟し、会合や説明会に参加するなどサプライチェーン全体でのサステナビリティ・CSRの普及を推進しています。

さらに開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組みとして、フェアトレードの認証コットンを使用したユニフォーム供給に取り組んでいます。

サプライチェーン調査

世界中に広がるサプライチェーンを構築する豊田通商グループでは、サプライチェーン全体における人権、労働安全衛生、環境などのリスクに配慮した事業活動を推進していくため、豊田通商グループサプライチェーンCSR行動指針を日本語・英語・中国語に翻訳し、多言語対応を行い、取引先と共有するとともに、サプライチェーン・マネジメントの一環として、アンケート調査や訪問調査を行っています。

サプライヤーの皆様において、当社行動指針の内容に関して違反のあった場合は現状及び原因を把握し、是正勧告や解決策の提示を行うなど、引き続き理解と遵守をお願いしていきます。

当社事業におけるサプライチェーン上のリスクがある事業分野および国・地域の特定。

豊田通商サプライチェーン・サステナビリティ行動指針に基づいてアンケート調査を実施。

アンケート調査を実施したサプライヤーの中から数社を訪問、人権、労働安全衛生面を中心に現地確認。

アンケートおよび訪問調査の結果を確認

行動指針に違反するサプライヤーには理解と遵守を求め、共に向上していく。改善が望めない場合には取引停止も検討。

サプライチェーン調査レポート

人権懸念国に所在し、かつ労働者の人権リスクが高いといわれるアパレル産業と食品産業のサプライヤーを中心にアンケート調査を行い、必要に応じ現地調査を行っています。2015年度はアパレル事業のサプライヤーから対象企業を抽出し、アンケート調査を実施しました。食品事業に関しては新規サプライヤーとの取引開始時に当社のサプライチェーン・サステナビリティ行動指針に基づいたチェックを継続して実施しています。2015年度の調査ではいずれも問題は見つかりませんでした。

人権

採用の際にIDで年齢を確認して18歳以上を雇用するなど、人事担当者が法令遵守に努めていることや、産休や時短勤務の制度もあり、従業員のワークライフバランスにも配慮していることが確認できました。

安全

裁断機を使用する際に、ケガ防止のため金属手袋の装着が義務付けられ、従業員の安全に配慮していました。また、品質管理では、不良品が出た場合は製品を回収し、品質会議を開催して原因特定の上、顧客に報告しています。

環境

オフィスや工場内はきれいに清掃され、倉庫内も整理整頓が行き届いていました。型紙や裁断から出る紙や生地の切れ端はリサイクルに使用されるなど、環境面でも取り組みを実施しています。

投融資事前審査

投融資の際には、その事業が環境及び社会に及ぼす影響を調査しています。

外部との協働

ノバアグリにおける取組み
当社グループ会社で穀物集荷・インフラ事業を展開するノバアグリ(ブラジル)では持続可能な穀物調達を目指しています。
サプライチェーン全体での持続可能性を確保するために、リモートセンシング技術や地理情報システムを用いて集荷する穀物が生産される農地のモニタリングに努めるとともに、自社の農家データベースと政府系機関などが公表する環境違反に関する情報を照合し、サプライヤーを厳選しています。

・大豆モラトリアム(Moratória da Soja)への加盟
ノバアグリはブラジルの植物油工業会と穀物輸出協会が立ち上げたアマゾンバイオームの違法伐採地域からの調達を行わないというイニシアチブMoratória da Sojaに穀物輸出協会メンバーとして参加し、その中で高い評価を得ています。

・2BSvs認証の取得
2BSvs認証はサステナブルなバイオマス・バイオ燃料に関する欧州基準の認証です。
ノバアグリは2022年5月に2BSvs認証を取得し、環境に配慮して生産・集荷した穀物として販売しています。

認証取得の主要条件、管理項目は下記の通りです。
〇アマゾン保護エリア(先住民居住区含む)から10㎞圏内の農家であること
〇上記大豆モラトリアム(Moratória da Soja)や強制労働等のルールに準拠していること
〇栽培に使用される除草剤、殺虫剤、殺菌剤、種子、肥料、ディーゼル、使用電力の履歴報告